釧路地方裁判所北見支部 昭和44年(わ)18号 判決 1969年8月01日
主たる事務所の所在地
絞別郡白滝村字白滝一、八六九番地
藤本林業株式会社
右代表取締役
藤本輝彦
本籍並びに住居
絞別郡白滝村字白滝一、八六九番地
会社役員
藤本輝彦
大正一一年四月一二日生
右の者等に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官黒崎兼作出席の上審理して次のとおり判決する。
主文
被告人藤本輝彦を懲役六月に処する。
但し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
被告人藤本林業株式会社を罰金四〇〇万円に処する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、絞別郡白滝村字白滝一、八六九番地に本店を置き、造材、製材などを営業目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人藤本輝彦は右会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括している者であるが、被告人藤本は被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて売上げを脱漏して簿外預金を設定するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ
第一、昭和四〇年五月一日より昭和四一年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三五、七六七、五三八円あつたのにかかわらず昭和四一年六月二二日絞別市南ケ丘二丁目六番地所在の所轄絞別税務務署において同税務署長に対し、所得金額が六、〇一二、五三七円であり、これに対する法人税額が一、五三四、一八〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額一二、五一八、八〇〇円と右申告税額との差額一〇、九八四、六二〇円につき法人税を逋脱し
第二、昭和四一年五月一日より昭和四二年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二四、三六九、五〇六円あつたのにかかわらず、昭和四二年六月三〇日前記所轄絞別税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一〇、〇〇五、四八二円であり、これに対する法人税額が二、七九九、三六〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額七、八一八、八〇〇円と右申告税額との差額五、〇一九、四四〇円につき法人税を逋脱し
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一、被告人藤本輝彦の検察官に対する各供述調書
二、同人の当公判廷における供述
三、且井重信、松山勇、大谷圭助、藤本トシ子、藤本国彦の検察官に対する各供述調書
四、大蔵事務官作成の告発書
五、押収にかかる証第一号ないし三号、七号、一一号、一二号の各物件
判示第一の事実につき
一、押収にかかる証第四号、五号、九号、一〇号の各物件
判示第二の事実につき
一、押収にかかる証第六号、八号、一〇号の各物件
(法令の適用)
法律によると、被告人藤本の判示各所為はいずれも法人税法一五九条、七四条一項二号に該当するので所定刑中懲役刑を選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、なお情状により同法二五条一項を適用して、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。被告会社に対しては法人税法一六四条一項、一五九条、七四条一項二号、刑法四五条前段、四八条二項により所定罰金の合算額の範囲内において同会社を罰金四〇〇万円に処する。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 栗田鉄太郎)